2015年8月24日月曜日

だるま(江東区三好)

地下鉄の清澄白河駅から清洲橋通りに出で、そこから南側へ一本裏の通りが江戸歴史資料館や深川丼屋が立ち並ぶ「深川資料館通り商店街」です。通りの風景や地元の人々には、観光地的な下町と違い、庶民的な下町の生活感が漂っていますね。



そこを東へ、良さそうな蕎麦屋や和菓子屋に惹かれつつ歩くと、見えてくるのが店名通り「だるま」が描かれたのれん。


引き戸を開けて中に入ると、まだ開店直後なのにコの字型のカウンターは半分くらい埋まっています。ここで考えてしまうのが、座る位置。こういった常連客にベテランの地元民が多い店は時間帯によって、それぞれの指定席みたいなエリアがあって、なるべくソコを侵さず、波風立てないでおきたいものです。そこでコチラの気配に気づいて目が合った老紳士に「お隣は座る方が決まってます?」と訪ねてみると、「ああ、いるけど、遅く来るのが悪いんだ、遠慮なく座んな」と、下町っぽい、ちょいと伝法なもの言いで席をすすめてもらえました。


これが壁いっぱいに貼られた品書きもテレビも視界に入るナイスな席で、一見客としてはかなりラッキー。

ビール大瓶450円、お通し200円
早速、店員のお姉さんに瓶ビールを注文。キリン、サッポロ、アサヒの三銘柄から選べるのが嬉しいですね。ビールと一緒に出てきたお通しはオクラと長芋を軽く和えたものです。

買い物ついででしょうか、「孫が好きだから」と持ち帰り用にアジフライ(壁の品書きにない!)を注文して、待っている間に他の常連さんと話が盛り上がり、結局、酎ハイを飲み始めてしまったご婦人と血圧について話したり(人生の先輩方は健康についての話がお好きですね)しながらビールを飲んでいると、店主が本日のオススメを書いたホワイトボードを壁にかけました。

小魚の唐揚げ350円
すると、アチコチから待ってましたとばかりに注文が入ります。まずはビールに合いそうな小魚の唐揚げからいきましょう。小ぶりなワカサギを揚げたのが皿にいっぱいで、大瓶を1本飲むのには十分なボリューム。

神鷹二合330円
イナダ刺し250円 
イワシ刺し250円
次の酒は神鷹の熱燗にして、「ここは刺身が安くて旨いんだよ」と常連さんに教えてもらったので、イナダ刺しとイワシ刺しを注文。これが値段からは想像できない美味しさでビックリ。町の魚屋でも、この値段で美味しい刺身は手に入らないんじゃないでしょうか。他の客には刺身はもちろん、煮物や焼き物など、美味しそうな料理が次々と運ばれてきて、これなら毎日来ても飽きないよなあ、なんて納得。神鷹はうま味のある辛口のお酒、二合でこの価格とはかなりお得。

揚出しとうふ350円
揚出しとうふは見ほれるほど白くて美しい衣をまとっていて、甘辛い汁でいただきます。厨房を覗き見ることはできませんが、しっかり揚げ油が管理されてそうですね。後半は七味をちょいとかけると、これまたいい酒のつまみになります。


店に入った時の一瞬の緊張感が嘘のように、美味しく愉しい酒をたっぷり堪能させていただきました。仕上げに飲んだ緑茶ハイもスッキリしているのにガツンと焼酎がきいていて美味しかったです。



●だるま
営業時間 17:00〜23:30
定休日 土曜日
住所 東京都江東区三好2-17-9(半蔵門線清澄白河駅B2出口から徒歩約5分)
連絡先 03-3643-2330


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2014年2月26日取材、2014年3月14日更新分を再編集)

立呑み とんかつ まるや 新橋店(港区新橋)

味噌汁とご飯がおかわり自由で安くて美味しい定食が評判のとんかつ屋さんが、立ち飲み屋をやっていると聞いて行ってきました。新橋駅の汐留口を出たら、向かいの新橋駅前ビル1号館へ。


昭和41年建設のこのビルは多くの飲食店が軒を連ねている、飲兵衛や食いしん坊に嬉しい場所なんです。正面の大きな開運狸の像(このあたりは戦後闇市から発展した酒場街「狸小路」でした)に挨拶してから中に入りましょう。


地下1階の飲み屋街も魅力的ですが、今回の目的の店は1階なんです。しばらく来ないうちに新しい店に変わってしまっている通路を歩くと、見えてきたのは角ハイボールのポスターと持ち帰り用のカウンター。看板には「とんかつ」の上にしっかり「立ち呑み」と書いてありますね。




中に入ると厨房を囲むカウンター、そして壁側にもぐるりとカウンター。端っこの方に陣取ると、元気な女性店員が飲み物を聞いてくるので生ビールを注文。サントリーの高級ビール「プレモル」なんて、嬉しくなりますね。

ザ・プレミアムモルツ樽生中ジョッキ400円、千切りキャベツ(お替り自由)100円
つまみは揚げ物の前にとりあえず頼んでおきたいのが、おかわり自由の千切りキャベツ。スチール製の皿にとんかつ抜きの状態で出てきます。揚げ物は好きだけど、身体のことを気遣わなくちゃいけないオッサンにはありがたいメニューですね。

ベーコンエッグかつ200円
これをモリモリ食べながら待っていると、やって来たのはベーコンエッグかつ。ベーコン付き目玉焼きを揚げたのを想像していたのですが、実際は粗めのパン粉をまとった丸いフライでした。箸で割ってみると、中身はベーコンに巻かれた半熟玉子。熱々のトロッとしたのをこぼさないように食べると、サクッとした衣と黄身のハーモニーが口いっぱいにひろがってニヤリ。

野菜かつ三種300円
野菜かつの盛合せはナス、ベビーコーン、椎茸の3種。これにはソースでもいいのですが、トッピングメニューのタルタルソースをつけて食べると、味わいがワンランクアップ。

角ハイボール300円、海老フライ250円、タルタルソース100円
店内のポスターやメニューでイチ押しになっている角ハイボールは、カウンターの専用サーバ(特注ゼウスタワー)で注がれるので、角瓶と炭酸水をジョッキで混ぜ合わせるよりも冷えているし、泡が長持ちするそう。飲んでみると、ウイスキーの香りが立っていて、グビッとやるごとに鼻腔を刺激します。角ハイボールをたっぷり飲みたい方なら、MEGAサイズだと倍の量が入っていて価格は500円なのでオススメです。


海老フライを1本だけなんて、普通のとんかつ屋では注文しづらいですが、立ち飲み屋なら気安くできるのがいいですね。タルタルソースをつけて、ガブリといきましょう。

煮豚どうふ300円
煮豚どうふはパン粉のサクサクした食感続きで疲れた口を癒してくれる柔らかさ。とんかつ肉を切り出したときに出る半端肉なのでしょうか。とっても上品な味わいで、豆腐にもしっかり染みてます。夕方6時を過ぎたあたりになると、店内は仕事帰りのスーツ族でいっぱい。ちょいと白飯が恋しくなりつつビルを出て、狸に見送られながら駅に向かったのでした。ちなみにトイレは1階のフロア共同です。



●立呑み とんかつ まるや 新橋店
営業時間 16:00〜23:00(ランチ11:00〜15:00)
定休日 土・日・祝
住所 東京都港区新橋2-20-15 新橋駅前ビル1号館 1F(新橋駅汐留口より徒歩約2分)
連絡先 03-6274-6210


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2014年2月20日取材、2014年3月7日更新分を再編集)

珍味亭(杉並区西荻南)

西荻窪駅の南口を出たら、目の前に伸びる西荻南口仲通街のアーケードにぶら下がっている、ピンクの象の巨大オブジェがチラッと見えるのを確認して右へ。そこには、この町のランドマーク的な存在の酒場「戎(えびす)」が勢力を広げている路地が伸びています。最近はこの一本裏の「柳小路」が、個性的な酒場が新旧混在していて、老若男女に人気のようですね。「戎」のモツを焼く煙に誘惑されながら路地を歩くと、左手に古びた台湾料理屋が見えてきます。


ガラリと引き戸を開けると、右にご主人と息子さんが働く厨房と7人座れそうなカウンター。大きなボウルやトレイに入った醤油色の豚の耳や足などが並んでいます。左の台湾の地図が貼ってある壁側いには将棋を指すような小さな2人がけのテーブル。あまりの狭さにトイレもありません。外に丸椅子とビールケースが積んであるのですが、これは外飲み用のセットなのかも。中華系の店らしい赤いカウンターの端っこに陣取ると、店の奥に貼ってあるメニュー表を眺めます。酒のメニューはフリガナをふってありますが、見知らぬ漢字ばかりで、何がなんだか分かりません。すると息子さんが「分からないのがあったら言ってくださいね」と優しい言葉をかけてくれ、店舗は狭くても雰囲気は開放的そうなのでひと安心。

ビール大瓶550円
まずは無難に瓶ビールをお願いすると、荒く刻んだニンニクが入った醤油皿が一緒に出てきます。これはお通しではなく、肉料理につけるタレなんです。

豚耳350円 
豚尾350円
つまみは豚の端っこから中身のモツまで、いろんな部位を愉しむことができまして、両端の耳と尻尾を注文。耳はコリコリとした食感で、ニンニク醤油をちょいとつけると酒がクイクイと進みます。尻尾はコラーゲンに包まれた中身がまるで生ハムのような旨味のかたまり。骨があって食べづらいのですが、夢中でかじり、しゃぶってしまいました。

台湾紹興酒350円、頭肉350円、セロリ150円
こうなると、中華系の酒が欲しくなります。台湾紹興酒をお願いすると、小ぶりなグラスに表面張力ギリギリで溢れそうなくらい注いでくれます。これを中腰になって向かいにいくようにすすり、余裕を持たせてから自分の手元へ。



頭肉は噛むほどに旨さが口いっぱいに広がりますが、ニンニク醤油をちょっとずつかけて食べると、さらに強力な酒のつまみになります。セロリは塩が添えてあって、肉と酒のローテーションの間に挿入してパリッとかじると、酒がススムのなんの。強いお酒でも大丈夫なら白酒の一種、汾酒もオススメ!

チビチビとやっていると、厨房側のドアが空いて、帰宅途中らしき客が持ち帰りの料理を注文しています。息子さんに聞くと、汁物以外は持ち帰りができるそうなので、お会計のついでに、他の客が旨そうに食べていた豚足をお願いしました。ビニール袋に入れ、さらに紙袋に入れられた豚足には、刻んで薬味にするように、ニンニクが一欠片添えられているのが嬉しいですね。ちなみに、トイレは柳小路の西側に共同トイレがあります。

豚足600円

●珍味亭
営業時間 18:00〜23:00
定休日 土・日・祝
住所 東京都杉並区西荻南3-11-6(西荻窪駅南口より徒歩約1分)
連絡先 03-3333-2840


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2014年2月18日取材、2014年2月28日更新分を再編集)

【閉店】酒蔵一番 大森アーケード店(大田区大森北)

初めて訪れる町で『ここは住んだら愉しそうだなあ』と思うのは、面白そうなもの売っている店や美味しそうな店を見つけたときだったりしますが、飲兵衛ならやっぱり酒場ですよね。それも、地元に根付いていそうな「大衆酒場」があると、町への信用度もグッとアップするってもんです。そこでいうと、大森は東口に大衆酒場が4件もあって、飲兵衛の鼻がひくひくしそうな魅惑の町なんです。

今回はその中のうち、系列店が3軒ある「酒蔵一番(さかぐらいちばん)」の「アーケード店」を紹介しましょう。東口を出て右へちょいと歩いたところにあるのが「Milpa(ミルパ)」というアーケード街(以前は大森銀座商店街という名前だったのですが、商店街のカラー舗装化の記念として改名されたそうです)で、途中にある酒場の赤提灯に誘惑されつつ進んでいくと見えてくるのが、ひどく年季の入っている暖簾がかかった酒場です。


三叉路の角にあって、左右にそれぞれある入り口の引き戸を開けて入ると、左にテーブル席が5卓、右に厨房(奥にも厨房あり)を挟むようにカウンターが向い合って2列。2階は座敷席です。


とりあえずビールをとメニューを見ると、各メーカーの大瓶が揃っていて、すべて480円。得を取るならエビスでしょうが、「男は黙って」サッポロ黒ラベルをセレクト(本当はちゃあんと声を出して注文しましたよ)。指定しないとアサヒスパードライが出るようです。さすが、壁に歴代キャンペーンガールのポスターが並んでいるだけありますね。


酢だこ380円
つまみは店員から渡された本日のおすすめ品の札から酢だこ。酢、醤油、ワサビ、そしてタコの甘みが口の中で出会うと、正月のお節でだけ食べるなんてモッタイナイと鼻息が荒くなってしまう旨さ。

串かつ380円
串かつは熱々の太いのが2本。嚙みごたえのある肉と甘くてトロリとした玉ねぎの組み合わせがいいですね。なぜかソースがカウンターに置いてなくて、小皿に小出しされたのが出てきます。

牛もつ煮込み380円
牛もつ煮込みは柔らかくて、コンニャクと大根入り。ちょいとしょっぱいかな。

剣菱 正一合徳利380円、にら納豆380円


ビールの瓶がカラになったら、お次はお酒にしましょう。剣菱はガラスの徳利に注いでからレンジでチン。店員の中華系のお嬢さんが上手い具合にお燗してくれます。辛口が好みなら白扇を選びましょう。納豆の上にのっているニラはたっぷり一把をおひたしにしてあって、なかなかのボリューム。薬味はかつお節、刻みネギ、辛子です。


そして、食べ物はもちろんですが、なによりも酒のつまみになったのが、カウンターに並んで愉しそうに飲んでいる地元の常連さんたちのお喋り。会話に参加するわけではないですが、『なんだ、刺身の切り方が貧弱(薄い)なあ』なんて口うるさい言葉に店への愛を感じたり、『毎日来てんだろ、(たまには酒を抜かないと)駄目だよ』『なに言ってんだ、お互いさまだろ』なんて、いつも交わされているであろうツッコミ合いにニヤリとしたり。はたまた『カミさんが寝込んでて、飯を作ってくれないから、ここで栄養補給してるんだよ』と言いながら野菜炒めをつまんでいる老紳士を心配してチラ見してみたり。お世辞にもキレイとは言えないけど、温かい雰囲気に溢れた酒場の魅力に酔ってしまうのです。



●酒蔵一番 大森アーケード店
営業時間 15:00〜23:30
定休日 無休
住所 東京都大田区大森北1-10-9(JR京浜東北線大森駅東口より徒歩約5分)
連絡先 03-3766-9932


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2014年2月13日取材、2014年2月21日更新分を再編集)

三兵酒店(豊島区西池袋)

飲兵衛の皆さんなら「角打ち(かくうち)」という言葉はご存知だと思います。酒屋の片隅で酒を飲むことなのですが、某酒メーカーのサイトによりますと、『語源は諸説あるが、酒屋で量り売りをしていた頃に量り売り用の枡で店頭の客に味見をさせたのが始まりで、枡の角に口をあてることから派生し、いつしかカウンターの角で酒を飲むという意味に転じたというのが主力である』とあります。



今回はそんな「角打ち」を愉しめる店を紹介しましょう。池袋の北口を出て、池袋北口商店街をまっすぐ進み、左に西一番街のアーチが見える角に酒屋があって、自動販売機を挟んだところが入り口です。


店内は壁に沿ってぐるりとカウンター。詰めれば10人以上入れるでしょうか。カウンターの下に荷物をかけるフックがあるのがありがたいですね。左側が厨房兼販売用カウンターで、酒屋スペースとつながっています。つまり、酒屋の片隅ではなく、ほぼ独立した立ち飲みスペースになっているので、本格的な「角打ち」ではないかもしれないけど、進化系のひとつだと思うことにしましょう。


ぐるりと見渡すと、壁いっぱいに賑やかな手書きのメニュー札が貼ってあって、素面なのにわけが分からなくってしまいそうですが(いまだに清酒に一級と二級があるのは何故なのか、とか)、サワー系のメニュー表を見つけてバイスサワーのセットを注文。

バイスサワーセット320円、おかわり焼酎一合220円
サワー、ホッピーセットの焼酎は一合、半分(五勺)は70円引き
会計はそのつど払うシステムです。焼酎がたっぷり(一合)入っていて、氷が少ししか入っていないのにグラスの3分の2はあります。カウンターの上のアイスペール(他の客と共有です)から氷をグラスに追加してバイスを注ぐと、かなり濃厚なバイスサワーができあがりました。

玉子入りマカロニサラダ200円
つまみは札に「人気第3位」だと書いてあるマカロニサラダにしましょう。冷蔵庫から皿を取り出し、ラップを剥いで、マヨネーズと乾燥パセリをかけたら、いっちょあがり。200円なので業務用の出来合いかと思っていたら、ちゃあんとツナや野菜や玉子が入っている手作りなんです。写真で箸が料理に刺してあって行儀が悪いように見えますが、これは最初から刺さっている状態で出てくるんですよ。ボリューム、味ともに値段を考えたらとってもお得な一品です。

クエン酸焼酎サワーセット320円、じゃがカレー200円

続いて注文したのは、クエン酸焼酎サワーのセットとじゃがカレー。クエン酸サワーはその名の通り、レモンなどに含まれているすっぱい成分であるクエン酸が入った炭酸で焼酎を割ったもの。レンジでチンされたカレーは、熱々のじゃがいもをスプーンでザクザクと小分けすると、ご飯の友のはずだったカレーが心強いつまみに見えてきます。辛口でオトナの味です。

塩焼きそば200円、これもチンされて出てくる
各セットおかわりの焼酎を頼んで、合計4杯を飲んだら、なんだかいつもより酔いが早い。そりゃあ、4杯で焼酎四合も飲んでいるんだから、あたりまえですよね。どうも、普段のペースとは違うようです。ここは「角打ち」らしく、サクッと飲んで、おいとますることにしましょう。次に来たときは「まむしサワー」と呼ばれている、陶陶酒の炭酸割りに挑戦してみたいですね。



●三兵酒店
営業時間 15:00〜24:00
定休日 日曜日
住所 東京都豊島区西池袋1-31-5(池袋駅北口より徒歩約3分)
連絡先 03-3971-4662


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2014年1月30日取材、2014年2月14日更新分を再編集)