2015年4月14日火曜日

【閉店】立飲みコーナー大つか(豊島区北大塚)

店主と常連客が仲がいいのは悪くないのですが、その距離感が近すぎると一見の客には居づらいこともあります。そういう店はたとえ酒や料理が美味しくても、紹介するのをためらってしまうのですが、今回の店なら大丈夫。ワイワイとカウンター越しに盛り上がっていても、さりげない気遣いで一見の客でも気分よく飲めるのです。


大塚駅の北口に出たら左へ。ガードの向こう側の道を進むと、客引きのお兄さんがいる魅惑の店に挟まれるように赤提灯が見えてきます。ガラリと引き戸を開けると、店内は10人くらい並べそうなカウンター。壁の品書きを札を眺めてビックリ。なんと、つまみが全品190円! 今まで紹介した中でもかなりの安さですね。



まずは店主に酎ハイ、そして10数種の定番のメニューから湯やっこを注文。ジョッキと一緒に目の前に置かれたのは木製のお椀。この店はキャッシュ・オン・デリバリー制なので、コレにお金を入れておくと、必要なだけ持っていってくれるのです。

酎ハイ240円
湯やっこ190円
皿の上に盛られた豆腐は目の前を通りすぎて店の奥へ。温まったところにおろし生姜、ネギ、かつお節がのせられ、いい匂いが立ちのぼってきます。醤油をかけて、ホロホロなのをこぼさないように口にはこぶと、190円なのがとってもお得に感じる旨さ。ジョッキをグビリとやると、濃い目でしっかり酔えそうな酎ハイです。炭酸の他にスライスレモンが入っていて、これで飲んだ杯数が分かるんですね。

マカロニサラダ190円
店の入口側の厨房で忙しく働いているママさんの前には日替わりのつまみが大皿にのっています。じゃがいも煮やはんぺん(注文受けて焼く)が並んでいましたが、マカロニサラダを選ぶと、ちぎったレタスの葉の上に盛りつけてくれました。

酒・正一合230円、鰯の丸干し190円
ホワイトボードに書いてある魚系のつまみは日替わりどころか、品切れすると入れ替わるその場次第。刺身、煮魚、焼き魚といろいろありましたが、つまみの戦力として心強そうな鰯の丸干を注文。5匹のっていて、もちろん190円です。お酒は熱燗からぬる燗、冷や(常温)までお願いできます。

外が暗くなった頃には仕事帰りの常連客で店内は満員。口の悪い客の冗談を軽妙なトークであしらいつつ、ママさんはこちらの飲み具合もチェックしているらしく「酎ハイでいい?」と、おかわりのタイミングを見計らってくれます。いやあ、居心地がいいなあ、なんてほろ酔い気分で店の雰囲気を愉しんでいたのですが、戸を開けて覗く客がいるので場所を譲ることにしましょう。会計を済ますと、ママさんの「また寄ってね〜」の声に送られながら駅に向かったのでした。


●立飲みコーナー大つか
営業時間 14:00〜23:30
定休日 日・祝日
住所 東京都豊島区北大塚2-6-4 コミヤビルIII 1F(大塚駅北口より徒歩約3分)
連絡先 03-3910-4554


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年12月20日取材、12月27日更新分を再編集)

飲食笑商何屋ねこ膳(新宿区新宿5)

朝から晩まで、そして深夜だって大丈夫。そんな24時間、いつでも飲める嬉しい店が新宿にあります(以前は昼間から飲める店だったのですが、2013年から24時間営業になりました)。



明治通りと靖国通りの交差点から北へ向かい、花園神社を超えると、赤提灯と妙ちきりんな長い店名の看板が見えてきます。「いんしょくしょうしょうなにやねこぜん」と読むらしいのですが、「ねこ膳」って呼べば大丈夫みたい。店内は左の厨房側に10人くらい座れそうなカウンター、右に4人掛けのテーブル2つと2人掛けのテーブル1つ。


厨房で揚げ物の仕込み中のママさんの前の席に座ると、まずは「お酒」と宣言。「じゃあ、コッチのメニューを見てね」と言われた酒とつまみのメニューは手描きの文字とイラストがびっしり。別に定食メニューが書かれた「お食事」用メニューもあります。定食のセットは200円引きでつまみにしてもらえるのですが、この店の面白いところはセット以外にもフライは1個、しょうが焼きは1枚から注文できることなんです。いろんな料理をちょっとずつ愉しめるのがいいですね。

ホッピー(白・黒セット400円、ホッピー250円、焼酎おかわり200円)/ポテトサラダ100円
チキン味噌カツ1個200円
しょうが焼き2枚300円
まずは黒ホッピーとポテトサラダ、チキン味噌カツを1個、しょうが焼きを2枚注文。サクッと揚がった鶏肉は大山地鶏だそうで、ジューシーで甘辛い味噌だれが合います。しょうが焼きはご飯が欲しくなるところですが、代わりにホッピーをグビッと流し込みます。ホッピーは鬼盛りってほどではないですが、かなり焼酎の量が多くて中4外1でも余裕。常連客によると100mlは余裕で入っているとか。

イカのバター焼き380円
バターと醤油で炒められたイカはさばきたてでプリップリの食感。添えられた生野菜はカウンター備え付けの特製ドレッシングをかけて、つまみの戦力にしましょう。


カマス開き480円
厨房の棚の下にはママさん手書きの日替わりメニューがいろいろ貼ってありまして、酒にもご飯にも合いそう。その中からカマスの開きとしじみのつくだ煮をホッピーの中と一緒に注文。カマスは身がしまっていて、噛むほどに旨味が口中に広がります。大根おろしと一緒にガリ(薄く切ったしょうがの甘酢漬け)が付いているのも嬉しいですね。

しじみの佃煮150円
つくだ煮は生姜がたっぷり入っていて、飲兵衛の身体にも優しそう。ママさんによると「(常連客に)高血圧を気にしてる人が多いから、薄めの味付けを心がけている」とのこと。このちょっとした心遣いもこの店の魅力で、お会計している客にママさんが身体をいたわる一言をかけてくれたり、眺めているだけで温かい気分になってきます。まるで殺伐とした新宿の街のアットホームなオアシスみたいですね。


●飲食笑商何屋ねこ膳
営業時間 24時間営業
定休日 年中無休(臨時休業あり)
住所 東京都新宿区新宿5-17-1(新宿三丁目駅E1番出口より徒歩約1分)
連絡先 03-3200-1710


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年12月14日取材、12月20日更新分を再編集)

やきとん ひろちゃん(港区新橋)

狭い間口をくぐると温かい光が灯っていて、天井の越しにガタンゴトンと電車の音が聞こえ…。ガード下って、そんなノスタルジックなイメージが浮かびがちですけど、最近の有楽町から新橋あたりはお洒落な店やチェーン店が参入してきて、雰囲気が変わってきました。


それでも、薄暗いガード下はいまだに残っていまして、赤ちょうちんを灯して客を待っている酒場があるのです。新橋駅の銀座口を出たら有楽町方面へ。理髪店から左へ曲がると、頭上にはJRの高架。ショーケースにセクシーな下着が飾られた店の隣にあるのが今回紹介する店。


店内はウナギの寝床みたいに細長く奥行きがあって、テーブル席が6卓、カウンターが4席。黒ホッピーのセットと一緒に出てきたお通しは筑前煮。鶏肉の旨味がよく引き出されている優しい味わいですね。


ホッピー(セット黒・白400円、中250円)
生シジミ380円
ナニを焼いてもらおうかなとメニューをチェックしていたら、あまりモツ焼き屋では見たことがない「生シジミ」という品書きを発見。店主に確認すると、醤油と紹興酒に漬けているらしいので台湾料理の定番ですね。シジミは肝臓にいいですから、気休め程度ですけど食べておきましょう。

ナンコツ、カシラ各120円
レバー、テッポー各120円
焼き物はナンコツとカシラを塩、レバーとテッボーをタレで。どの串もギュッと肉の旨味が詰まっていてホッピーがすすみます。特にテッポーは肉厚で柔らか。キッチリ処理されていて、甘めのタレが合いますね。調子に乗って2回目の焼酎中身をお代わりしたら、前より明らかに量が多い。最初がジョッキの3分の1、2杯目が半分、3杯目は3分の2はある。これなら外1中3だって余裕です。「入ってますねー」と言うと、店主は人懐っこそうな笑顔でうなづいていました。

レモンサワー350円。カシラスタミナ焼き400円 

ニンニク醤油味のカシラは串焼きよりも大ぶり。食べごたえがあって、肉欲(?)も満たされます。味変で唐辛子をかけると、さらにパワーアップ。レモンサワーは店の一番人気というだけあって、爽やかな酸味でモツ焼きとの相性はバッチリ。焼酎がかなり入っていたようで、しっかり酔えました。

豆乳もつ煮込み380円
次はどうしようなかと壁のホワイトボードを眺めていると、うしろのテーブル席の常連客が「これ美味しいよ」と教えてくれたのが豆乳もつ煮込み。汁は普通の煮込みよりもまろやか。豆腐も入っていて、モツの旨味と豆乳をまとっていて旨い。もう一品おすすめされたバンバンジーも美味しそうだったし、モツ刺しや魚系メニューも試してみたかったし、近くに来たら、また寄ってしまいそうです。


●やきとん ひろちゃん
営業時間 (月〜木曜日)17:00〜24:00(金曜日)17:00〜26:00(土曜日)17:00〜23:00
定休日 日曜・祝日
住所 東京都港区新橋1-13-3(JR新橋駅銀座口より徒歩約2分)
連絡先 03-3503-5749


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年11月28日取材、12月6日更新分を再編集)

おかやん(中野区中野)

美味しい魚を食べたくなったら、ちょいと気の利いた居酒屋に行くものでしたが、最近では立ち飲み屋でもお手頃価格で食べられるようになって有り難いことです。


今回紹介するのも新鮮な魚と美味しい酒を気楽に愉しめるお店。中野の北口に出たらロータリーを越えて右側の路地へ。道なりに右に左にと曲がり、右に伸びる小道を進むと小体な酒場が並んでいます。



そこに外に向かって立ち飲みカウンターが3本突き出ている立ち飲み屋があって、既に客でいっぱい。透明なビニールシートで防寒してあります。端っこのスペースに入れてもらうと、そこはおでん鍋の真ん前。肌寒くなってくるとメニューにおでんが加わるのです。

ホッピー(白・黒セット400円、追加中200円)
車子450円
まずはホッピーセットをお願いして、カウンターに置かれたメニューをチェック。毎日の仕入れの具合でラインナップが変わるから面白いですね。日本各地からやってきた魚がいろいろあって悩みましたが、岡山の車子に決定。しかし、注文した後に気付いたのですが、常連さんらしき客はだいたい刺身盛りを頼んでいるんですよ。チラリと見ると盛りが良くて、値段以上の価値がありそう。でも、車子だって肉厚で立派です。お好みでどうぞと出された甘酢だれにつけると甘みがふっくら広がって旨い。

釜あげしらす生のり和え350円
ホッピーの中身のついでに注文した釜あげしらす生海苔和えは、シラスがふっくらしていて生海苔たっぷり。味付けはされてないのですが、醤油をかけなくても、それぞれの潮の味でじゅうぶん。

前割焼酎・芋400円、海鮮納豆450円

厨房前に貼られている札はあまり品数がないつまみらしく、海鮮納豆も注文した直後に外されてしまいました。丼にはひきわり納豆が見えないくらい魚がたっぷり。今回は平政、まぐろ、ホタテ、タコ、ワカメがのっています。海苔で巻いて食べても、ズルズルっとかき込んでも旨いです。 酒は前割焼酎(焼酎を事前に水で割っておいて馴染ませておいたもの)の芋をお燗でいきましょう。

おでん各150円
魚系の次はおでんにしましょう。ちくわぶと高野豆腐選び、おでん鍋で温められた焼酎をクイッとやり、汁がたっぷりしみた高野豆腐をガブリとかじると、お腹がじんわり温まります。普通の焼酎のお湯割りより、まろやかで優しい味わいですね。焼酎とおでんの汁を飲み干したら、身体の芯までほっこり。ビニールシートがなくて開放的な空間で飲める春から夏もいいけど、冷えた身体を酒で温める季節も悪くないですね。ちなみにトイレは並びのお店と共用です。


●おかやん
営業時間 (平日・土曜日)17:00〜23:00(日曜日・祝日)16:00〜23:00
定休日 月曜日・不定火曜日
住所 中野区中野5-61-11(中野駅北口より徒歩約2分)
連絡先 03-3389-7702


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年11月21日取材、11月29日更新分を再編集)

もつ焼 まつり邑(世田谷区豪徳寺)

夕暮れ時、駅の改札を出て赤ちょうちんが見えるとホッとしますよね。今回の店は地元の飲兵衛たちがそんな灯りにつられて寄ってしまう店です。


            

小田急線の豪徳寺の駅を右に出ると、商店街のこじんまりした花壇の先に赤ちょうちんと「もつやき」の暖簾が見えます。世田谷線の山下駅もすぐ近くですね。店内は狭く、左に忙しく串を焼く店主、三角形になっているカウンターは10人でいっぱいになりそう。地下にはテーブル席が4つあって、グループだとそちらに案内されるみたい。



酎ハイセット400円(中身焼酎おかわり300円)、ゆであげもつ皿400円

道路に面した席に座ると酎ハイと焼き物ともつ皿を注文。運ばれてきたのは氷と焼酎が入ったグラスと冷えた炭酸の瓶で、ホッピーみたいに自分で割って作るタイプです。酎ハイの炭酸は西新小岩にある野中食品工業のDRINK NIPPON。グラスに注ぐと泡が力強く、ヒリリとしたノド越しが気持ちいい。グビリとやりながら窓の向こうを眺めると、会社や学校帰りの人々の姿が見えます。

なんこつ、かしら各120円
レバー、あぶら各120円
串焼きはナンコツとカシラを塩、あぶらとレバーをタレで。塩焼きはどちらも肉の旨味がギュッと詰まっていて、噛むほどに旨い。タレ焼きは甘さ控えめ。レバーはふんわり焼きあがっていて、さすが備長炭を使っているだけあるかな。あぶらはその名の通り豚の脂のかたまりで、ほんのちょっと肉との絶妙なハーモニーがワイルド。小ぶりで120円なのはちょいと高めですが、世田谷料金といったところでしょうか。1本ずつ頼めるのがいいですね。もつ皿はシロを柔らかく茹でたもの。煮込みと違って淡白な味わいで、カウンター備え付けの醤油、唐辛子、ガーリックパウダーで自分の好みの味わいに調整します。

半足300円
隣の客が店主に『ホッピーとはんそく』と注文するのに、えっ、反則? と驚いたのですが、運ばれてきた皿で納得。豚足をハーフサイズでした。これなら一人飲みのオッサンにちょうどいい量です。旨そうにかじりつく姿をチラ見していたら、たまらなくなって注文。箸なんか使わず酢味噌を付けてカブリとやると手が汚れてしますが、ちゃあんとお手拭きを付けてくれるので安心ですね。

バイスサワーセット420円
つくね120円、ネギ140円
仕上げはさっぱりとバイスサワーでいくことにして、串焼きは長ネギとつくねを塩で。コダマ飲料のロゴが可愛い瓶は薄ピンクの梅紫蘇のエキス入り。「バイス」は「梅酢」ってことです。甘酸っぱくてこれまたもつ焼きに合います。気がつけば外は街明かり。お会計をして駅に向かいながら振り向くと、赤ちょうちんが『またおいで』と揺れていました。


●もつ焼 まつり邑
営業時間 15:00〜24:00
定休日 日曜日
住所 東京都世田谷区豪徳寺1-43-2(小田急線豪徳寺駅より徒歩約30秒)
連絡先 03-3427-4493


(GOT『ズバ! 風俗情報』居酒屋特集/2013年10月18日取材、11月22日更新分を再編集)